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リハビリ場面での痛みの評価②身体評価編|若手理学療法士、学生のいまさら聞けない基礎知識

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本章では痛みの原因組織を考えるための思考過程を紹介していきます。

痛みの原因組織??

痛みを生じてさせている組織のことです。
運動器系や神経系、内臓系、認知情動系など原因は様々です。
痛みが生じているのは何筋なのかといった具合に特定することが必要です。

それはどうやって特定していけばいいの??

これから紹介していくので、今後の考え方の参考にしてもらいたいと思います。
この記事では主に“運動時に生じる痛み”について紹介していきます。

痛みの原因組織を考える

痛みの治療をするためには痛みを生じさせている原因組織を特定していく必要があります。

なぜなら、原因組織によって治療は異なるため、特定することでより効率的に効果的な治療が行えるからです。

漠然とアプローチをしていては一向に解決されません。

もちろん、術後の炎症痛など時間経過により自然軽快するものもありますが、原因組織を知っておくことは重要です。

運動時に生じる痛みの場合

運動時の痛みの訴えの場合、その痛みを評価において再現していく必要があります。

いくつかの条件で再現していくことで組織が絞られ特定に繋がるからです。

痛みの訴えがあった場合、次の順序で仮説を消去していきます。

1.筋・筋膜

2.靭帯・関節包

なぜなら、筋・筋膜の方が短期間に治療効果を出しやすいからです。筋・筋膜からアプローチし、それでも効果が現れない場合、靭帯・関節包等も考えていきます。

痛みが生じる動作の分析

痛みを再現していく上で、どんな運動で生じるのかを観察し、さらにその動作を運動学的に分解していく必要があります。

「肩を動かすと痛みがある」と訴えがあった場合(結帯動作)

・痛みのある動作を運動学的に分解する(結帯動作=肩伸展・外転・内旋)

・各運動方向で痛みの再現や誘発・消失条件を探る(内旋動作で疼痛+)

・大まかに原因組織を同定(他動運動検査で痛み+、等尺性運動検査で痛みなし→非収縮性)

・ストレスのかかる組織を抽出し、詳細に原因組織を同定(棘下筋、小円筋、烏口上腕靭帯、上方関節包、前方関節包等)

この流れはROM制限因子を考える上でも役立ちます。

痛みのある動作を運動学的に分解する

痛みのある動作が結帯動作である場合、その動作を運動学的に分解して考えます。

結帯動作は肩甲上腕関節の伸展・内旋・外転に分けられます。

このように分解して考えることで、組織を絞ることができます。

各運動方向で痛みの再現や誘発・消失条件を探る

分解した運動方向ごとに痛みの有無を検証します。そのためにまずは自動運動にて行なっていきます。

・自動運動検査(active test)について

・誘発条件と消失条件について

自動運動検査(active test)

自動運動検査では関節を各運動方向へ患者自らが動かし、症状の有無を検査します。

自動運動では収縮性の組織だけでなく、関節内における非収縮性組織のどちらに原因があっても痛みが生じる可能性があります。

自動運動はどの運動方向で症状が出現するのか、どの位置で増悪するのか症状の変化する境界を評価します。

*自動運動検査から始めることで安全に動かせる範囲がわかり、その後の検査を安全に行うことができます。

誘発条件と消失条件について

痛みの原因を考える際、誘発条件消失条件という考え方が必要です。

誘発条件とは、その条件により痛みが出現・増強するものであり、

消失条件とは、その条件により、痛みが軽減・消失するものです。

これらはインピンジメントテストや坐骨神経伸張テスト等でも活用されています。

この事例では、結帯動作時に内旋ROMを増大することで痛みは誘発され、逆に内旋ROMを減少させることで痛みは消失します。

このことから内旋動作が痛みに関与していると考えられます。

原因組織の同定

・他動運動検査(passive test)

・抵抗(等尺性)運動検査(resisted test)

上記の検査によって収縮性組織(筋・筋膜系)と非収縮性組織(靭帯・関節包、関節系)のどちらが原因かを鑑別することができます。

他動運動検査(passive test)

自動運動検査と同じ運動を他動的に行い、症状の変化を評価する。他動的に行うことで、収縮性組織を排除した評価が可能となっています。

*この検査のみで判断することは避けましょう。抵抗運動検査もセットで実施することでより根拠がかためられます。

抵抗(等尺性)運動検査(resisted test)

等尺性運動検査は関節をほぼ中間位とし、最大筋収縮を誘発する検査です。このとき、関節運動は起こさないように抵抗を与えるため、痛みの原因から非収縮性組織は除外できます。

自動運動は安全管理上行いますが、収縮性組織、非収縮性組織の鑑別はできません。

実際には他動運動と等尺性運動検査の結果を統合し、原因を絞ります。

評価の統合は次のようになります。

他動運動で疼痛+、等尺性運動で疼痛−であれば、非収縮性組織が原因であると考えられます。

逆に、他動運動で疼痛−、等尺性運動で疼痛+であれば、収縮性組織が原因であると考えられます。

どちらも疼痛+な場合は、運動器系以外の関与が考えられます。

具体的に

肩内旋の自動運動・他動運動で痛みが見られ、等尺性運動では消失した場合は結帯動作時の痛みは内旋に関与する非収縮性組織に原因があったと考えられます。

そこで内旋に関与する非収縮性組織を抽出し、痛みの原因組織の仮説を立てます。

ストレスのかかる組織を抽出し、詳細に原因組織を同定

現段階では内旋動作で痛みが生じていることがわかりました。

さらに検査結果から非収縮性の組織が疑われています。

ここで注意しなければいけないことがあります。

自動運動・他動運動で痛みが見られ、等尺性運動では消失した場合でも収縮性組織が同定される場合があります。

それは拮抗筋の伸張痛です。しかし、これは痛みの部位からある程度選別可能なため、念頭に置いておくことでこの問題は解消されます。

それでは内旋動作でストレスのかかる組織を抽出し、絞っていきます。

・収縮性組織(内旋で伸張される筋):棘下筋、小円筋(三角筋後部線維)

・非収縮性組織:烏口上腕靭帯、上方関節包、前方関節包、肩甲上腕関節等

主に上記の組織が挙げられます。

○参考文献

続いて組織を同定していく方法です。

・原因が収縮性組織の場合

・原因が非収縮性組織の場合

原因が収縮性組織の場合

・触診(筋硬度の確認や筋スパズムの有無)

・筋別の伸張テスト

・治療的検証

本例では、棘下筋、小円筋の関与が考えられています。

それぞれの触診を行い、筋の硬さや筋スパズムの有無を評価します。

左右との差を評価することが重要です。

棘下筋・小円筋を分離した伸張テストは一般的ではないため、今回は触診にて鑑別するのが第一選択です。

棘下筋または小円筋が原因であると仮説が立てられた場合、その原因に応じて実際に治療を行い、痛みを再評価します。

そこで改善が見られた場合はその組織が原因であると判断できます。


原因が非収縮性組織の場合

・ストレステスト

・治療的検証

・関節系には他動的可動性検査も行う

烏口上腕靭帯は一般的に肩の外旋制限に関与するとされていますが、

内旋制限にも関与することが知られています。

烏口上腕靭帯に伸張ストレスを加えて痛みの誘発や、伸張後に内旋時の痛みが軽減・消失した場合(治療的検証)は原因が烏口上腕靭帯にあったと考えられます。

他動的可動性検査では

1)圧迫・牽引検査

2)滑り検査

を利用して、症状の誘発・軽減を図り、組織の同定を行います。

○参考文献

まとめ

痛みの訴えから、原因組織を考えていく流れを説明してきました。

ここまででやっと痛みの原因組織を同定することができましたが、これで終わりではありません。

なぜなら根本的な原因ではない可能性が大いにあるからです。

痛みがある組織がわかったらなぜその組織に痛みが出ているのかを考え、根本的な解決を目指す必要があります。

以上で、流れは終わりますが、少しでも参考になれば幸いです。

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