私が通っていた大学では理学療法評価や治療主義、疾患に関する知識を学ぶことは多くありましたが、具体的な臨床での考え方を学ぶ機会は圧倒的に少ない環境でした。
そこで少しでもそんな方々の為になるように基礎的な内容ではありますが、理学療法士としての痛みの捉え方、評価の過程をまとめたので紹介していきます。
痛みの訴えがあってもまず何をしたらいのか、、、
学生時代の実習場面や就職してすぐの臨床場面で、患者から痛みの訴えがあったとき、どんな風に考えていけばいいのか迷ったことはありませんか??
そもそも痛みの訴えがあった時の考え方を学んでいないという方は多くいます。
なんとなく問診や身体的評価が必要なのはわかるけど、どんな風に考えていけばいいのかを知りたい
理学療法場面では患者からの痛みの訴えは多くあり、その原因を考え治療していく必要があります。
基礎的な事項から、具体的な評価の流れについて説明していくので、少しでも参考になればと思います。
問診については教育過程でも習う部分が多くあると思うので飛ばして次の記事を読んでいただいても構いません。
Contents
問診で何を聞くか
問診は痛みを捉える上で非常に重要な評価です。具体的にどんなことを情報収集すべきか説明していきます。
次の4つを意識して聴取しましょう
いつから(出現時期、きっかけの有無、急性痛・慢性痛)
「いつから」痛みが出現したのかは原因の判別には非常に重要な情報です。
例えば変形性膝関節症に対してTKAを施行した患者が痛みを訴えている時、その痛みが“術前”からあるのか、“術後”からなのかによって原因が異なる場合があります。
術後の疼痛である割合は多いですが、痛みの出現時期の聴取を誤ると原因の鑑別も誤った仮説を立てることになり、治療効果をあげられません。
そのため、いつから出現した痛みなのかは必ず確認しましょう。
このとき、痛みが出始めた「きっかけ」も聴取しましょう。根本原因を考えるヒントになります。
出現時期によって急性痛なのか、慢性痛なのかを判断します。
急性痛であれば、最近の生活の中できっかけとなる出来事がある場合が多いので、聴取していきましょう。「慣れないことをしてないか?」「最近重たいものを持ってないか?」などの聴取も必要です。
慢性痛であれば、それなりのバックグラウンドが存在するため、その点を踏まえて評価を進めていきましょう。
どんな時に(安静時・運動時、時間帯)
痛みがどんな時に出現しているのかも重要です。
安静時にもあるのか、運動時にあるのか、運動時にあるならどんな運動で誘発されるのかを聴取・観察しましょう。時間帯による変化も聴取しておきましょう。
安静時痛の原因には、腰痛や腫瘍、炎症、狭心症の発症などがあります。
運動時痛の原因は、多岐にわたります。
運動器の痛みは動作に伴って誘発されることが多いため、運動時痛の原因の多くは運動器にあります。
術後の炎症期には炎症物質の浸潤により痛みを感じやすくなっているため、動作によって誘発されることもあります。
どこが(部位・範囲)
疼痛の部位や範囲も重要です。
疼痛部位からある程度、原因組織を推測し、各種検査・治療を行います。
疼痛部位にどんな組織があるのかを考えましょう。
疼痛範囲の広さによっては筋骨格系以外の神経系の関与も考えられます。
そのため、神経系の関与を考え、末梢神経の支配領域で考えると、橈骨神経の関与が仮説としてたてられます。
このように疼痛部位や範囲からも原因分析ができるのでしっかりと確認しましょう。
どのように(痛みの感じ方)
痛みの感じ方(感覚表現)も重要です。
患者さん自身はどのように表現したらいいのかわからないということが多いため、下記のような感覚表現を念頭に置き、患者さんの主張に傾聴することが必要です。
補足:既往歴の聴取
痛みの根本原因を考える上で、既往歴の聴取も重要です。
痛みの原因組織は比較的簡単に仮説をたてられますが、その組織に痛みを生じさせている根本的な原因の究明は難しいです。しかし、その根本的な原因を解決することが求められます。
根本的な原因を解決しないことには、いくら治療をしたところで痛みが再発してしまいます。
根本的な原因として既往歴は深く関与していることが多いです。
そういった点から既往歴の聴取も外せない問診事項となっています。
以上が問診で聞くべき事項でした。
この内容は教育過程でも学ぶことも多いため、次の身体評価編の方が評価の考え方を知るためにはオススメの記事となっています。