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【呼吸リハの基礎】SpO2が下がる原因を考えられていますか?|低酸素血症の原因は4つ

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リハビリ場面では呼吸状態を管理するためにパルスオキシメータを使用して酸素飽和度を測定することがよくあります。

皆さんは酸素飽和度が低下している時になぜ低下しているのかを考えているでしょうか。


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SpO2が下がって離床が進まないな、、、
とりあえず離床促せばSpO2も上がってくるかな?

ちょっと待って✋
そもそもその患者さんのSpO2が下がる原因は考えられてますか?

肺炎後だからさがってるんだろうくらいにしか考えていませんでした、、、

たしかに肺炎で下がることはありますが、その患者さんがどんな状態にあるかを踏まえて介入しないと「なんちゃってリハ」になってしまいますよ

そうでした、、、
呼吸器疾患のこと全然知らないので基礎的なとこから教えて欲しいです

どんな理由でSpO2が下がるのかもお願いします

こんな感じでなんとなく介入してしまっている人のために、呼吸不全の基礎的な部分からSpO2が下がる原因について解説していきます。

*前半は呼吸不全についての基礎なので、SpO2の低下の原因についてだけ知りたい方は目次からとんでください!

Contents

呼吸不全とは?

そもそも呼吸不全とはどんな状態なのでしょうか。

"呼吸不全とは、呼吸器系障害により低酸素血症(PaO2≦60Torr)をきたし、また、時に高二酸化炭素血症(PaCO2>45Torr)をともなう状態で、生体が正常な機能を営み得ない状態"。

"呼吸不全を広い概念で捉えると、呼吸器障害による動脈血液ガスの異常に加えて、循環障害、酸素輸送障害や末梢組織での酸素利用障害による組織低酸素も含まれる。"

出典:一和多俊男:呼吸不全の病態生理:日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌第26巻第3号,422-426,2017

つまり、何らかの原因により動脈血内の酸素が少ない状態のことで、身体への酸素のめぐりが悪くなっています。

SaO2、PaO2、SpO2とは?それぞれの意味と違いについて

PaO2(動脈血酸素分圧):[単位:mmHg,Torr]

▷ヘモグロビンと結合せずに血液中に溶け込んでいる酸素の値⬅️採血が必要

Sa02(動脈血酸素飽和度):[単位:%]

▷血液中のヘモグロビンの何%が酸素と結合しているかの値⬅️採血が必要

SpO2(経皮的動脈血酸素飽和度):[単位:%]

▷血液中のヘモグロビンの何%が酸素と結合しているかの値⬅️採血が不要(パルスオキシメータ等で測定)

つまり酸素分圧と酸素飽和度のちがいは「ヘモグロビンと結合しているか」で、

SaO2とSpO2のちがいは「採血を必要とするか」です。

ちなみに、
SaO2の「a」はartery(動脈)、
SpO2の「p」はpercutaneous(経皮的)またはpulse oximetry(パルスオキシメータの)という意味があります。

酸素分圧は血液中に含まれる酸素の内、ヘモグロビンと結合していない酸素の値を示しています。

酸素分圧が高いほど、血液中には酸素が多く存在しており、ヘモグロビンと酸素が結びつきやすくなります。

そのため、酸素分圧(PaO2)が高ければ酸素飽和度(SaO2,SpO2)は高くなるという相関関係にあります。

その関係を表しているのが酸素解離曲線です。

出典:https://nursepress.jp/212091

ちなみに、呼吸不全の基準は酸素分圧60Torr以下で、
60Torrは酸素飽和度でいうと、90%に相当します。
これが、SpO2で90%が指標とされている理由です。


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SpO2の低下は低酸素血症??

基準値があるので「SpO2の低下=低酸素血症」ではありませんが、低酸素状態になっている可能性は高いです。

呼吸不全(低酸素血症)の基準値はPaO2が60Torr以下になることですのでSpO2でいうとだいたい90%以下になることです(注意*)。

(注意*酸素分圧と酸素飽和度の関係性はpHの影響によりズレるので厳密には60Torr=90%とは限りませんが、わかりやすくするため今回は省略)。

ということは、低酸素血症の原因さえわかればSpO2が下がる原因もわかるということですか?

そういうことになります!

学生時代に低酸素血症の原因は習った気がしますけど、それとSpO2の低下を結びつけて考えてませんでした😅

この機会に復習していきましょう!
低酸素血症の原因に当てはめて考えれば、SpO2が下がる要因を考えやすくなりますからね

低酸素血症の生理学的機序は4つ!

①肺胞低換気

②換気血流比不均衡

③拡散障害

④右左シャント

SpO2の低下はこのいずれかに原因があります。

原因は1つとは限らず①〜④の複数が影響する場合も多いです。

それぞれについて意味と具体的にどんなものが当てはまるのか解説していきます。

①肺胞低換気

意味:肺胞全体に出入りする空気の量(肺胞換気量)が減少した状態のこと

(*肺胞換気量=分時換気量(1回換気量×呼吸数/min)-死腔換気量)

肺胞低換気によりSpO2が低下する機序は、

呼吸中枢の異常による呼吸数の低下や肺自体の異常により1回換気量が低下し、血液中の酸素分圧が減少しSpO2が低下するという流れです。

肺胞低換気の原因疾患とSpO2低下の機序(機序は他の考え方もあると思いますがわかりやすさ重視です)

肺構造に障害はなく、脳疾患など中枢系の障害だけなら、意識的に呼吸数増加や深呼吸を行うことでSpO2は上昇するはずです。

②換気血流比不均衡(V/Qミスマッチ)

V/QミスマッチのVはVentilation(換気)、QはQuantity(量)を表しており、呼吸療法の略語でQは血流量を表します。

意味:肺胞換気量と肺血流の比率の均衡が崩れている状態のこと。

換気血流比不均衡によりSpO2が低下する機序は、

肺内で血流の少ない肺胞または酸素供給の少ない肺胞が生じることで血中への酸素運搬が減少し、SpO2が低下する仕組みとなっています。

肺疾患の換気血流比不均衡分布をイメージした図

疾患とSpO2低下の機序を考えるときは「肺胞への酸素流入」・「肺胞への血流」のどちらが低下しているかを考えることで捉えやすいです。

以下にまとめています。

換気血流比不均衡の原因疾患とSpO2低下の機序

たとえば肺炎では、肺胞への酸素流入が低下します。具体的な流れは次の通りです。

病変部の肺胞内では免疫反応として炎症が起こり、肺胞内は水浸しになります。

水浸しになった肺胞は空気が入れなくなり、換気できなくなります。

しかし、肺胞の血管は問題ないので血流は保たれた状態になります。

一方で、病変部以外の正常肺胞ではこれまで通り、一定量の酸素運搬を行います。

すると、十分に酸素を取り込んだ血液と、酸素をあまり取り込めなかった血液が混ざり、全体としては酸素分圧の低い血液が身体に送られることになります。

血中の酸素分圧が低いということは必然的にヘモグロビンと結びつく酸素の量が減り、SpO2は低い値となるのです。

このようなメカニズムで換気血流比不均衡ではSpO2が低下します。

貧血だとSpO2は下がりますか?

貧血では血液中の酸素の量は少ないですが、SpO2は下がりません。
なぜなら、SpO2は酸素と結合しているヘモグロビンの割合を表しているからです。

貧血では血液中のヘモグロビンが少ないながらも酸素と結びついているので、SpO2は下がりません。
それでもヘモグロビンが少ないので酸素の運搬能は下がっています。

③拡散障害

意味:肺胞腔から毛細血管内のヘモグロビンに至るプロセスが障害されること。

呼吸生理学では、このプロセスを“拡散”と表現します

拡散のイメージ

この図のように肺胞腔に到達した酸素は肺胞上皮→間質→毛細血管内皮→血漿→赤血球膜の順に透過しヘモグロビンと結合し酸素が運搬されます。

拡散障害によりSpO2が低下する機序は、

肺胞上皮や間質、血流に異常が生じると肺胞から酸素が血中に拡散されず、血中の酸素分圧が低下し、SpO2が低下するという流れです。

拡散障害が生じる疾患とSpO2低下の機序

運動などの労作時にSpO2が下がるのは拡散障害も関係しているんです!

そうなんですか?

拡散距離が長いと、酸素が肺胞から赤血球に到達するのに時間がかかります。

運動時には心拍出量が増加し血流も早くなるので、さらに酸素がヘモグロビンと結びつきにくくなりSpO2が下がるんですよ

単純に酸素が吸えていないだけだと思ってました。

もちろん酸素が十分に吸えていない(換気が低下する)と肺胞内の酸素の量が少なくなり、運動時に血流量が増えても対応できないっていうのはありますけど、
それ以外にも理由があるってのを理解してもらえれば十分です
イメージ図載せときますね

運動時にSpO2が下がる機序

④右左シャント

意味:右室から肺に拍出された血液が肺胞気に触れず、酸素化されずに左心系に流入する状態のこと。

上記の機序でSpO2が低下する流れになっています。

原因にはいくつかありますが、次のような疾患が原因となることが多いです。

右左シャントの疾患とSpO2低下の機序


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まとめ

SpO2がなぜ下がるのかについて具体的な疾患とその機序について解説しました。

機序を理解することでどんな介入が必要なのか、離床を進めるのにただ起こせばいいのか、それとも排痰と行ってからのほうがいいのか、酸素流量の増加は効果的なのかなどの判断がしやすくなると思います。

臨床で少しでも考えるきっかけになれば幸いです。

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